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FETISH STATION

From Tokyo to the world.

漱石三読

2008.01.28 [ Edit ]

 トラックバックをいただいた記事の中に、こんな一節があった。

四捨五入して半世紀生きた中で面白かった本、などと銘打ってリストアップして下さったら、拝見してみたい気がします。どんな本を選ばれるのかなぁと。

文庫落ちのことなど(読書法について)。 - どんなジレンマ


 再読したい本については、いずれ書きたいと思っていたのだが、よく考えてみたら、きちんとリストアップなんてしたことがない。しかし、実際に数年前から昔読んだ本を読み返し始めているのである。(おそらく現在読んでいる本の10冊中3冊くらいが再読だと思う。)

 本記事で取り上げる夏目漱石を読むのは3回目になる。
 1回目は十代の終わり頃、即ち高校から大学時代であり、2回目は30代前半、結婚して子供が生まれた頃のことだった。今回を合わせると15年間隔、30年がかりということになる。尤も漱石の全作品を読んだためしは今までになく、今回も読み残したものを含めて新潮文庫を全部読めれば良いかなあという程度である。
 夏目漱石は30代後半から小説を発表し始め、49歳で絶筆するまで、十数編の長編小説と数冊分の短編小説を遺した。
 僕が最初に彼の作品に触れた頃、小説の主人公たちは全員年長者だった。(三四郎でさえ23歳である。)明治に書かれた文章は、当時の僕に難しく、筋を追うのに精一杯であった。二度目に読んだとき(初めて読んだ作品もあった)、僕の年齢はかの主人公たちに追いついた。昔の風俗習慣に多少親しんだこともあって、大分内容が理解できるようになった(と思っていた)。
 そして、肉体年齢だけは作者の寿命に追いつこうとしている現在、三たび手にとった本はかつてとはまた違った様相を帯びて迫ってくるのである。

 「再読したい本」について考えるとき、「あの感動をもう一度味わいたい」というのが再読の主な動機となると思う。しかし、十数年の間隔を空けて漱石を読む行為は、これに当てはまらない。時間的年齢的な空隙もさることながら、読者の社会的立場の違いによって、作品の齎す“感動のポイント”が異なるからだ。
 判りやすい例を挙げれば、『三四郎』や『それから』は、学生時分に読むのと社会に出てから読むのでは、全く印象が異なるのである。このような“違い”をほぼ全ての作品に共通して感じることの出来るのが、漱石の小説の特徴といっても良いかもしれない。

 漱石は読むたびに新しい発見がある。いや、発見などというものではない。「あれ?こんな話だったっけ?」と思うほど、違った印象を与えることさえあるのだ。
 漱石はそれだけ一筋縄では行かない文豪なのだ。だからこそ、再読三読したいと思うのである。

 各作品の感想も少しずつ書いていこうと思っている。
 今の僕にしか書けない事柄があるに違いないと考えるからである。
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三読の豊かさについて。

id:kanimasterさん、おはようございます。贅沢というか豊かな読書を実践されているのだなぁと、興味深く記事を拝見しました。引用しつつ、記事を作成させていただきます。 FETISH STATION - 漱石三読 「再読したい本」について考えるとき、「あの感動をもう一度味わいたい」

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