五十年前の新潮文庫を買ってみた
2009.04.04 [ Edit ]

古本屋で、こんな本を買った。
昔の新潮文庫には現在のようなカバーはなくて、半透明のパラフィン紙のようなものに覆われていた。岩波文庫も同様のパラフィン紙に包まれていたが、岩波が茶色っぽい包みだったのに対して、新潮はやや白っぽかったと記憶する。(画像の本は古いので黄ばんでいるのだが。)
それから、おなじみの 《しおり》 ひもだが、色がグレーである。

奥付を見ると、「昭和三十四年十二月十日 五刷」 と記載されている。ちょうど50年前ではないか。
当時、どんな文庫本が発売されていたのか、最後のほうに書かれている 「新潮文庫最新刊」 を見てみよう。

大江健三郎が、モームが、ヴァン・ダインが、最新刊になっている。なんて豪華なラインアップ。ちょっと読みたくなるような本ばかり並んでいる。
当時の新潮文庫は、50年経った今でも読み継がれている名作が大半を占める、“濃い” 文庫だったのである。
肝心の 『新文章読本』 (1950年発表)だが、ちっとも面白くなかった。僕は 「文章読本」 のたぐいが好きで、谷崎、三島、丸谷才一、井上ひさしなど片っぱしから読んでいるのだが、本書はわりと当たり前のことしか書いてなくて、しかも文章自体が読みにくいため、まったく何のお手本にもならないのである。
また、この本には贋作説があって、現在絶版になっている。どちらかといえば、《奇書》 に入るものなのだろう。
先日、たまたまこの本を持ち歩いているときに、猫猫先生こと小谷野敦さんにお会いしたので、お見せしたところ、
「これは川端が書いたんじゃないから、読まなくていい」
と仰った。当時は他の人に書かせるようなことはよくあったのだそうである。
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ekkenさん
そのとおり。定番商品の廉価版という位置づけだったんですよね。
文庫書き下ろしが増えたのは、早川・徳間あたりからでしょうか。
文庫書き下ろしが増えたのは、早川・徳間あたりからでしょうか。
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流行りもの読み捨て作品が多くなったのは、この20年くらいの感覚です