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FETISH STATION

From Tokyo to the world.

今日のグーグルさん

2009.01.31 [ Edit ]

google


 これは!





 Google検索で、1月31日午後11時35分ごろから一時、不具合が起きていた。どんなキーワードで検索しても「このサイトはコンピュータに損害を与える可能性があります」と表示され、検索結果をクリックするとマルウェア感染の警告を示す英語ページを表示。検索結果に直接アクセスできなくなっていた。不具合は12時15分(2月1日0時15分)ごろ解消した。
Googleに不具合 全検索結果に「コンピューターに損害を与える可能性」とメッセージ - ITmedia News


というような事情だそうです。
 素早い回復でしたね。



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安部公房 『箱男』

2009.01.25 [ Edit ]

 『箱男』 は1973(昭和48)年に発表された長編小説。

 これは箱男についての記録である。
 ぼくは今、この記録を箱のなかで書きはじめている。頭からかぶると、すっぽり、ちょうど腰の辺まで届くダンボールの箱の中だ。


 出オチである。奇妙な格好をした人物が最初から登場し、語り始める。箱男の語りは延々と続くが、なかなか出オチを超えられないままである。
 次に、女が登場する。

 ――私、あの箱がほしいの。


 箱男と見習看護婦、そして怪しげな医者(贋箱男)の3人の不思議な関係が語られるようになり、物語は俄然面白くなっていく。
 中盤の最も長い断章、《書いているぼくと 書かれているぼくとの不機嫌な関係をめぐって》 は本作の核心ともいえる箇所だが、この部分は途中から箱男による妄想(想像)である。
 しかし、物語として画期的なのはここまでである。後半、劇中劇風に挿入される断章はそれなりに面白いのだが、どれも終わってしまった話を蒸し返されているような感じがする。何かが決定的に足りないのである。

 本作に欠けているもの、それは 《箱女》 である。
 例の見習看護婦だって、本当は 《箱女》 になって、覗き穴から街を眺めてみたかったのではないだろうか。終盤近く、閉め切った家の中で、箱男と看護婦は2ヶ月の間、全裸で生活する。その後、ある日突然、彼女がいなくなってしまうのだけれど、彼女の失踪は 《箱女》 になることができない物足りなさが関係しているのではないかと想像する。
 全裸でいちゃいちゃするくらいなら、彼女を箱の中におびき寄せることだって出来るだろう。箱の下のほうに、にょきっと伸びている四本の脚。ダンボールに染みついた匂い。ふき出る汗。
女は見られるだけの存在ではないのだ。


 先日、YouTube で 『箱男』 に関する映像を見つけた。緒川たまきの妖艶な表情がたまらない。

YouTube - 安部公房『箱男』 Kobo Abe - hakootoko



箱男 (新潮文庫)箱男 (新潮文庫)
(1982/10)
安部 公房

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大江健三郎 『性的人間』

2009.01.20 [ Edit ]

 東北の寒村にある別荘へ向けて、1台のジャガーが疾走する。車の中には、映画の撮影機材が積み込まれ、7人の若者たちが乗り込んでいる。彼らの中の一人、十八歳のジャズ・シンガーの娘が裸になり、他の者に向かってこんな話をする。

「わたしが政治家のパーティに仕事に行ったときのことなのよ。わたしと一緒の控え室に化粧もしていない十六歳の子が、ピンポンの球と青いビニールの衣裳を膝において坐っていたのね。そこでわたしたちは友達になったわけよ。仕事の順番がきてもその子はお化粧しなかったのよ。裸になるだけ。そして青いビニールの寝袋みたいな服に頭からはいこんで、わたしに背中の下半分だけについているジッパーをあげさせたわ。その青い服は、蛙の衣裳なのよ、体じゅうすっぽりくるんで、股だけ魚の口みたいな穴がひらいているのよ。政治家たちは、女の子の性器をした青い蛙を見るわけ、しかもピンポンの球を体にいれていて、それが踊りにあわせてブル、ブル、蛙みたいに鳴くわけよ!」


 中編小説 『性的人間』 (1963年発表)の冒頭場面である。大江健三郎の初期の小説には、このような具体的なイメージに満ちた奔放なアイデアが、あちこちにあふれている。しかし、主人公の青年 J は、娘の言葉を理詰めで封じ、彼女は泣きだしてしまう。(フェチ好きな読者のために書いておくと、この素敵なカエル娘のエピソードはこれっきりで、このあとは出てこない。どなたか続きを書いていただけぬものか。)次から次へとアイデアが湧き出るのは良いのだが、どうにも収拾がつかなくなっているような感じがする。
 中短編集 『性的人間』 収録の表題作の前半は、映画を撮影しながら乱交パーティをする話。後半は電車の中で知り合った3人の男性が 《痴漢クラブ》 を結成する話である。登場人物の一部は共通しているが、ストーリーにつながりはなく、わけがわからない。(でも、面白い。)

 『セヴンティーン』 (1961年発表)は、三島由紀夫を思わせる自意識過剰な少年が、右翼にかぶれていく話。少年の一人称で書かれているが、右翼かぶれの若者を痛烈に批判しているところが面白い。もっとも、少年にとっての 《右》 とは、あくまでも心理的な 《鎧》 と形式上の 《制服》 に過ぎず、保守思想そのものへの批判にはなっていない。続編の 『政治少年死す』 は単行本化されなかったようだけれど、タイトルだけで結末が見えてしまうので、あまり読みたいと思わない。

 『共同生活』 (1959年発表)は、一人暮らしの青年の部屋に四匹の 《猿ども》 が出現し、無言で彼の生活を見つめる、という話。(もちろん、主人公の妄想である。)
 実に不気味な小説であり、村上春樹の短編 『品川猿』 より、ずっと良い。スピード感のある文体が特徴的な 『セヴンティーン』 をロックンロールに例えるならば、こちらはプログレ、初期のピンク・フロイドを想起させる雰囲気を持っている。

 三作に共通するのは、具体的・視覚的なイメージを伴ったアイデアである。大江の小説はその後抽象的なキーワードが多くなり、次第に難解になって行くので、初期の作品のほうが読んでいて楽しめると思う。


性的人間 (新潮文庫)性的人間 (新潮文庫)
(1968/04)
大江 健三郎

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いかなごの炊いたん

2009.01.17 [ Edit ]

 親戚の Y さんが震災で家を失ったのは、彼女が70歳のときだった。
 親戚、といってもかなりの遠縁にあたり、僕はそれまで会ったことがなく、かろうじて父が連絡先を知っているだけの間柄だった。
 Y さんの住まいは、神戸の下町のアパートだったそうだ。関西の地理に疎いのだが、長田区のあたりだろうか。 地震のため長年住んでいた建物は全壊。独り暮らしのYさんは無事だったが、周囲の多くの方が亡くなったらしい。
 避難所での生活は長く続き、Y さんの仮設住宅への入居が決まるまで半年かかった。

 1996年3月。僕は、神戸を訪れた。
 震災から1年経っていたが、元町の商店街のビルが根元から倒壊して、隣りの建物に寄りかかるようになったまま廃墟と化していたのをはっきりと記憶している。

 神戸市北区。
 起伏の多い、山の中の新興住宅地の真ん中にある、児童公園だったと思われる土地にプレハブの長屋が所狭しと並んでいる。 その一室に、Yさんは住んでいた。 数日前に降り積もった雪が、日陰に残っていたのを覚えている。
 仮設住宅は、夏は炎天に晒され、冬は雪に閉ざされる過酷な建物だ。 ベニヤで仕切られた壁は、避難所よりましだったが、両隣の物音が全部聞こえてくる。

 僕の話し声は、若い頃の父に似ている。
 そんな僕の突然の来訪を、Y さんは喜んでくれた。
「近所に友達がいなくてねえ。日中は神戸までバスで出かけることが多いのよ」
と、Y さんは語った。
 バスは30分に1本。片道30分の道のりだそうだが、聞いてみると、ほとんど毎日のように下町まで出かけているという。

 Y さんから、おみやげに「いかなごの炊いたん」(正式には「いかなごの釘煮」という)を頂いた。
 タッパーの中にぎっしり詰められた、飴色の小魚。 関西ではポピュラーな食べ物らしいのだが、僕はそれを初めて見た。
 家に持ち帰って食べたら、すごく美味しかった。

 それ以降、Y さんと僕は時々手紙のやりとりをするようになった。
 同じ北区の市営住宅への入居が決まったのは、さらに翌年のことだった。 震災から実に2年以上も経過していたのだ。

 Y さんが市営住宅に移転して、さらに3年後のこと。 僕の出した手紙が宛先不明で戻ってきた。
 父に電話して、彼女の消息を尋ねたところ、数ヶ月前に入院し、そこで亡くなったのだという。 父がその事実を知ったのも、人づてであったらしい。

神戸市消防局:阪神・淡路大震災

 神戸市消防局のサイトには、阪神・淡路大震災の被害により、亡くなった方は6,434人にのぼると書かれている。
 しかし、Yさんは、この人数に含まれていないのだと思う。

宮部みゆきを軽く9冊

2009.01.14 [ Edit ]

 順不同。短編は読んでいません。


『龍は眠る』

龍は眠る (新潮文庫)龍は眠る (新潮文庫)
(1995/01)
宮部 みゆき

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 超能力者が登場する推理もの。読みやすいし面白いと思うのだけど、あとに何も残らない感じ。


『レベル7』

レベル7(セブン) (新潮文庫)レベル7(セブン) (新潮文庫)
(1993/09)
宮部 みゆき

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 記憶喪失もの。かなり長い小説だが、パズルを解いていく感覚で一気に読める。読み終わったあとに何も残らないというのは、良いんだか悪いんだか。


『魔術はささやく』

魔術はささやく (新潮文庫)魔術はささやく (新潮文庫)
(1993/01)
宮部 みゆき

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 複数の事件が断続して起こる。いくつかの事件同士は直接的な関係はなく、主人公をめぐる人間関係の中で咀嚼されていく。サブ・ストーリーや小さなエピソードの描き方は上手いと思うが、全体に未消化の部分が残る。


『火車』

火車 (新潮文庫)火車 (新潮文庫)
(1998/01)
宮部 みゆき

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 カード破産問題を正面から取り上げた社会派ミステリとして有名な小説だが、本作の読みどころ、面白さは、休職中の刑事による失踪中の一人の女性の追跡劇にある。
 僕はこの本を読んだのを忘れて、2回も買ってしまった。


『理由』

理由 (新潮文庫)理由 (新潮文庫)
(2004/06/29)
宮部 みゆき

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 ルポルタージュという手法を模したミステリ。他の宮部作品に比べるとやや読みにくく感じるが、内容よりも形式を重視したストーリー・テリングは見事。傑作だと思う。


『模倣犯』

模倣犯1 (新潮文庫)模倣犯1 (新潮文庫)
(2005/11/26)
宮部 みゆき

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模倣犯2 (新潮文庫)模倣犯2 (新潮文庫)
(2005/11/26)
宮部 みゆき

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模倣犯3 (新潮文庫)模倣犯3 (新潮文庫)
(2005/11/26)
宮部 みゆき

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模倣犯〈4〉 (新潮文庫)模倣犯〈4〉 (新潮文庫)
(2005/12)
宮部 みゆき

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模倣犯〈5〉 (新潮文庫)模倣犯〈5〉 (新潮文庫)
(2005/12)
宮部 みゆき

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 文庫本全5冊という長さは思ったほど気にならない。しかし、中間部の心理描写(特に犯人の)が延々続く箇所はかなりしんどかった。
 警察の捜査によって犯人を追い詰めていく過程も細かく描かれているものの、事件は全く別の方法で解決し、いくつかの伏線は捨てられてしまう。また結末はきわめて後味が悪く、カタルシスが感じられない。(ないものねだりなんだけどね。)


『蒲生邸事件』

蒲生邸事件 (文春文庫)蒲生邸事件 (文春文庫)
(2000/10)
宮部 みゆき

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 時間旅行を扱った SF 長編。全体としてかなり面白いのだけれど、中盤に描かれる 《密室××事件》 を巡る推理・謎解きの部分が面白すぎて、後半の本論部分がかすんでしまっている。


『あかんべえ』

あかんべえ〈上〉 (新潮文庫)あかんべえ〈上〉 (新潮文庫)
(2006/12)
宮部 みゆき

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あかんべえ〈下〉 (新潮文庫)あかんべえ〈下〉 (新潮文庫)
(2006/12)
宮部 みゆき

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 幽霊の登場する時代もの。怪談ではなく、どちらかというと人情噺に近い。子供向けに書かれているようだが、これは悪い意味で子供だまし。文庫本2冊に値する内容ではない。


『スナーク狩り』

スナーク狩り (光文社文庫)スナーク狩り (光文社文庫)
(1997/06)
宮部 みゆき

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 ストーリー・テリング、情景描写、心理描写いずれも満点をつけたい大傑作。 100ページを過ぎたあたりから一気に加速し、最後まで一直線に突っ走る展開は素晴らしい。


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